不倫の慰謝料請求額の算定方法

不倫相談

不倫の慰謝料において、慰謝料額の算定は、精神的な心に受けた苦痛など目に見えないものを損害として考えて違法行為との間の因果関係あるものの範囲にて、その損害額を算出することになります。

そして、この慰謝料の算定においては、具体的には、①慰謝料がどのような認定の方法によるのかと②慰謝料の算定要素がどのようなものなのかを考えていくことになります。

慰謝料の認定方法等

裁判で慰謝料額を算定する場合には、諸般の事情を考慮して裁判官が裁量によって算定するものとされていて、裁判官は算定の根拠を明らかにする必要もなく、請求する側(原告)が損害額を証明する必要もないとされています。

最高裁判所判例によれば、「元来、慰謝料とは、物質的損害ではなく、精神的損害に対する賠償、いわば内心の痛みを与えられたことへの償いを意味する

その苦痛の程度を彼此比較した上、客観的・数量的に把握することは困難な性質のものである。

慰謝料額の認定はの裁量による事実認定の問題にすぎない。

ただし、その認定額が著しく不相当であって経験則又は条理に反するような事情でも存するならば格別である」とされれいます。

慰謝料

このように慰謝料の認定方法については、裁量的なもので明確に数式をあてはめてでるものではありません。

ただ、過去に蓄積された裁判例の具体的状況等に基づいてどのように慰謝料額が認定されてきたかを見ることにより、ある程度慰謝料額の算出のために、どのような事情が考慮されてどの程度の金額になるかがある程度蓄積されてきています。

そこで、不倫の慰謝料についてどのような事情が認定の要素として考慮されているか蓄積された裁判例の中で、以下の要素を明らかにします。

慰謝料の算定要素

慰謝料算定要素具体例

精神的疾患などによる慰謝料算定事由 精神疾患の重篤度・・(1)統合失調症(2)解離性人格障害(3)パニック障害(4)自殺未遂・自殺願望(5)躁うつ病(6)不眠症(7)情緒不安定(8)その他の精神疾患(9)精神内科などへの通院治療をする程度に至っているか否かなど
身体的疾患などによる慰謝料算定事由 身体的な疾患の重篤度・・(1)暴行傷害(2)暴行等による後遺症が残った場合(3)暴行傷害の継続性の有無と期間(4)治療費など金銭的損失部分
逸失損害 金銭的な逸失損害・・(1)それが原因で仕事を失ったために、収入がなくなった場合(2)休職となった場合(3)治療費(4)引越し費用(5)離婚の場合に財産分与の有無(6)婚約後に結婚を条件に家を建設した場合などの損失(7)結婚式の費用・キャンセル費用や花嫁道具の購入費
時間や期間的な要素 時間的要素・・(1)婚姻期間の長短(2)同居期間(3)別居期間(4)不貞行為の期間の長短(5)暴行傷害などの行為の継続性の期間
生活の状況の要素 収入状況・・(1)慰謝料を支払うべき立場の者の就職の有無、収入が低いか高いか(2)主婦、パートかなどの収入が不安定な状況か(3)婚姻費用の分担の有無
その他の事情 その他多様な要素の考慮・・(1)子どもの有無(2)離婚の有無(3)不貞相手の中絶の有無(4)不倫相手との間で生まれた子どもの有無(5)性病等をうつされたか否か(6)不貞行為のその他の態様(不倫中心で家庭を顧みないなど)(7)子どもや配偶者への虐待・暴言の有無
算定

以上のような要素を算定されることになります。

ただし、裁判においては、当事者がそれぞれ主張する慰謝料算定ための事実を考慮にいれて、裁判官の裁量により定められます。そのため裁判官によっても若干の金額の差が出てくることはあります。

これに対して、裁判以外で当事者や専門家が入って和解(示談)をする場合などは、以上のような要素を考慮しながら、慰謝料額を請求することになります。

不倫計算

慰謝料額算定の裁判例・・・不貞行為のケース

具体例)慰謝料額・・・400万円 □婚姻期間・・35年、□不貞行為の期間・・22年、□懐胎の有無・・2度懐胎と堕胎、□不貞行為の被害者と加害者の面識の有無・・面識あり、□不貞行為当事者は同じ職場、□被害者側夫は、精神的疾患・・不貞行為発覚後、通院カウンセリングを受けていた
具体例)慰謝料額・・・500万円 □婚姻期間・・18年7カ月、□不貞行為の期間・・2年、□子ども・・不貞行為の結果、生まれた子どもを配偶者の嫡出子として届け出ていた。、□DNA鑑定・・嫡出子否定された、□離婚の有無・・今回のことが原因で離婚、
具体例)慰謝料額・・・400万円 □婚姻期間・・4年、□不貞行為の期間・・1年3ヵ月、□離婚の有無・・別居により婚姻継続、□不貞行為を行った配偶者より、理不尽な言動と生活が荒れる。□別居の有無・・一方的に別居して不倫相手と同居し、不倫相手に子どもを産ませる
具体例)慰謝料額・・・400万円 □婚姻期間・・3年4カ月、□不貞行為の期間・・2年6ヵ月、□離婚の有無・・別居により婚姻継続、□不貞行為が発覚後も関係を継続、□被害者である妻が、自殺未遂、パニック障害、うつ病発症。□投薬治療中
具体例)慰謝料額・・・440万円 □婚姻期間・・6年、□不貞行為の期間・・2年以上、□離婚の有無・・婚姻継続、□不貞行為発覚後、示談書交わす。(慰謝料200万円、違約金100万円)なお、慰謝料160万円未払い。□その後も交際を重ねていたケース。□謝罪の手紙を送っていたが、不貞行為を続ける意思を持ちながら、欺いていた。
具体例)慰謝料額・・・300万円 □婚姻期間・・13年、□不貞行為の期間・・2ヵ月、□離婚の有無・・別居状態にあり壊滅的、□不貞行為は、男性の方が主導的な役割、□被害者の夫は、調査費用として、450万円ほど支出していた。□弁護士費用30万円支出
具体例)慰謝料額・・・250万円 □婚姻期間・・36年、□不貞行為の期間・・3年、□離婚の有無・・婚姻継続、□一度和解(300万円支払い済み)をしたにも関わらず、再び不倫関係再開、□解決金の支払いを、被害者側の貯金を持ち出して支払っていたことが発覚。□子どもが職を受け高校を退学
具体例)慰謝料額・・・70万円 □婚姻期間・・6年、□不貞行為の期間・・不貞行為認定なし、□離婚の有無・・離婚、□不倫相手との肉体関係はないが、結婚を希望して交際した結果別居離婚となった。

あくまでも、以上の具体例は一例です。慰謝料額は、それに応じて様々な額になりますが、往々にして、金額が高くなっているのが現実です。

慰謝料額計算

そこで、慰謝料額をいくら請求していいか分からない、慰謝料を請求されているがいくら支払えばよいか、その額が打倒な額か分からない方、一度ご相談ください。

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