不倫相手が既婚者と知らなかったケース

不倫示談

不倫をしていない配偶者が本来は不法行為の当事者である不倫をした配偶者に対して慰謝料請求できるのは当然です。

ところが、不倫した当の本人が配偶者に対して慰謝料を請求してくるケースがある。通常は不倫をした妻から夫に対して請求するケースが多い。

この場合被害者側が不倫の加害者に慰謝料請求というおかしなことが起こった場合どう対処したらよいでしょうか。

慰謝料請求される不倫との認識がなかった場合の相談例

慰謝料相談

不倫相手の独身女性が独身の男性だと思い、インターネットで知り合い交際を続けていたもので、その男性が結婚をしているということは全く知らなかった場合にでも、不貞行為に基づく慰謝料を請求できますか?

既婚者不倫

既婚者と知らず交際した相手に対する請求の可否

不倫相手に対する慰謝料請求が認められるためには、故意または過失が必要となります(民法709条、710条)。

婚姻していることを全く知らず、未婚者と思って付き合っていて、既婚者と疑うことも一切ないような場合には、慰謝料請求の問題は要件を欠いて、慰謝料を支払う責任は生じないことになります(既婚者側は責任を負うことは当然ですが)。

ではどういう場合に、故意過失がないといえるのでしょうか?

ex「婚姻していることを全く知らずに」「知らないことが止むを得ない」といえるケースとしてよくあるのが、婚活サイトに既婚者が未婚者として結婚相手を探して交際をした場合など、 特段婚姻していることを知ったり、または婚姻していることを疑うに足りる相当な事情がある場合などを除いて、故意または過失が認められにくい傾向にあります。

単身赴任先で、独身同様に生活している場合などのケースも同じようなことがあります。

離婚したと聞かされていた場合については、難しい案件となります。

安心して交際する場合には、離婚したと聞いている時点で、戸籍を確認するなどすることで、不倫の慰謝料を請求されるなどのトラブルを未然に防ぐことができます。

しかし、そのような戸籍を調べるなどということは普通のことではないので、一般的にそれだけで交際した相手に落ち度があったとまではいえないでしょう。

配偶者からの電話を聞いたり、メールを見たり、土日や夜には必ず家に帰るなど既婚者と分かったり疑ったりする様々な兆候があります。

あきらかな兆候を見落としてしてしまった場合には過失があると言われることもあるかもしれません。

不倫

例えば、結婚指輪をしていた場合には、これを見落とした場合には明らかに過失があると言えますが、これに対して、会うときには必ず結婚指輪を外していたケースでは、交際相手はその事実を知ることができない状況です。

そのため、交際相手の前でも結婚指輪をしていることを証明できるものがなければ、その事実をもって婚姻関係があったことを知りえたとはいえないことにもなりえます。

この点、当事務所が受けたケースでは、たまたま交際相手と採った旅行先の記念写真に結婚指輪をはめた状態の写真が出てきたため、既婚者であると認識するについて過失があったと認定されたケースがありました。

このように既婚者として知っていたか否か、知りえたか否か(過失)は、諸々の具体的事情を綜合的に考慮して事実関係を立証しつつ推定されたり、確信されたりする結果となります。

いずれにしても、既婚者であることが分かった時点で、どんなに恋愛感情があったとしても、別れるべきと思います。

また、分かった後は距離を置き、不貞行為を行わず別れることが必要です。

慰謝料を請求されても、覚悟のうえで、離婚して結婚するというお互いの意思が固い場合には、それを覚悟で交際を続けることは止むをえないかと思います。

この場合には、自己責任ですし、慰謝料請求されてもやむを得ないかと思います。

また、既婚者と知って別れる場合には、はっきりとメールでその内容を書いたものを交際相手に送って形を残しておくことが必須です。

後々相手の配偶者が事実を知って、慰謝料を請求される可能性も残っており、その際に、事実を知らなかったことと知ってからは交際をしていないことを主張する証拠を残しておく必要です。

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