不倫が終わって数年たった場合の慰謝料請求の可否

不倫示談

不倫の慰謝料請求は、不法行為責任ですので、慰謝料の請求の時効は、不法行為の加害者と損害の事実を知ったときから3年で短期消滅時効にかかります。

ここで、不倫の慰謝料において、「損害の事実を知った時から」とは、不倫相手の配偶者が、不倫の事実を知れば、その結果精神的苦痛を自ら受けるため、損害は知ったことになりますが、それに加えて不倫相手が誰であるかを知ったときに、損害の事実を知ったときとなります。

不倫が終わって時間が経ったケースの慰謝料請求

慰謝料相談

不倫相手との関係が、転勤や、相手との時間のすれ違いから、自然と交際が遠のいて、1年前に、不倫関係を解消しました。
しかし、妻が不倫の事実を私の過去のメールの内容などをたまたま見つけて知りました。

そこで、不倫を解消して時間が経っているし、不倫関係に陥ったのは相手が原因だったので、慰謝料を払いたくありません。

慰謝料を払わず終わらせることはできませんか?

慰謝料

過去の不倫の事実に対する贖罪と慰謝料はいつまで負うのか?

不倫をされていたことを知ったが、誰と不倫をしていたかが分からないまま、例えば3年経過した後、加害者の女性が誰かを知ったときは、その時から慰謝料の短期消滅時効をカウントされます。

例えば、不倫した事実を知ったのは、不倫のあったときから、1年後でしたが、不倫相手を知ったのが不倫から5年後であった場合においては、その不倫相手の事実を知ったときから、3年の消滅時効にかかります。
そのため、このケースでは、不倫から1年+5年+3年の経過後の日に慰謝料請求権が時効に係ることになります。

そこで、時効期間が経過するまでの間は、慰謝料を請求されてしまいます。また慰謝料を請求する側としても、時間が経ってしまっているため、若干慰謝料額の交渉はされることもあります。

精神的な状態と不貞行為との間の因果関係が時間の経過により、あいまいになっているケースもあります。

不貞行為が解消されて、1年経過したが、1年後に離婚をしたケースなど、離婚による慰謝料について、不倫の相手側に請求できるかどうかなど、不倫の事実と離婚との結果の間の因果関係が切断されているような場合には、慰謝料請求は認めっられない場合もあります。

これは時効に関する問題ではありませんが、時間の経過によって慰謝料請求に影響を与える法的要素です。

不倫関係が継続している場合は時効はいつから発生するか。

不倫については、継続的に不貞行為があった場合には、継続的不法行為として、最後の不法行為時から、時効は起算するとされます。そのため、最後に不貞行為があったときから短期消滅時効は3年となります(被害者が不倫相手を知り不倫の事実を知っていることを前提)。

そのため、3年を経過している不貞行為であっても、継続的不法行為において慰謝料額の請求につき考慮される可能性があります。

たとえば不貞行為が10年続いたけれども、その事実を不倫相手の配偶者が当初から知っていたケースであっても、3年前以前の不貞行為が一切慰謝料額の算定の中に考慮されないということはありません。

10年の不貞行為は、やはり10年の不貞行為として判断されることになります。

時効にかかっていることを知らずに慰謝料を支払うと言ってしまったケース

時効にかかっていることを知らずに慰謝料を支払うと言ってしまった場合には、時効の援用権の喪失になり、時効を援用できなくなります(時効の援用権の喪失)。

たとえば、言った言わないということにならないように、請求する側は、相手方の声を録音しておくか、メールなどのやり取りなどの中で、その事実を認めている証拠を持っておかなければなりません。

逆に、慰謝料を支払う側が、時効の援用をせず、支払いを認める場合には、時効の利益の放棄として慰謝料を支払うことになります。

不貞行為から20年経過により慰謝料請求権は消滅

不倫慰謝料は、不倫相手を知らないで20年を経過した場合に、なお、損害及び加害者を知ってから3年が経過していないとしても、慰謝料請求ができなくなります。

これは、形成権として、法律関係があまりに長期的に不安定になることをよしとしないとか、長期間の経過により証拠の確保が困難になるとか、被害感情の減少などという理由から、画一的に時間の経過により請求ができなくなっています。

不貞行為の場合であれば、不貞行為の最終時から20年の経過したときをもって時効消滅となります。

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